「秦 基博」という素晴らしき歌い手がいる。

彼との初めての出会いは一昨年。MTV主催のクリスマスライブ。
映像班として仕事で参加させて頂いた。

4組のアーティストが数曲ずつ歌う形式のライブ。
本命はウィル・アイ・アムと大塚愛。
トップバッターは当時人気が出始めていた高杉さと美。(どこいっちゃったんだろう…)
その中で、正直、その仕事が来るまで名も知らない、顔も見た事がない唯一のアーティスト、
それが「秦 基博」だった。

はじめの衝撃は当日のリハーサルだった。

「鱗」という曲をリハーサルの1曲目に選んだ彼。
アコースティックギター1本でセンターマイクに向かう純朴そうな青年は
「お願いします」
と少しかすれたハスキーな声で小さく頭を下げた。

ステージ上手袖で歌詞をプリントした資料を見ながらリハーサルを聴いていた僕。
途中から歌詞を目で追えなくなるくらい、聴こえてくる歌声に虜になった。
思わず「…めちゃめちゃイイ歌やん!」と声に出して驚いたのを憶えている。

そう感じたのは僕だけではなかった。
近くにいた映像スタッフ全員が顔を見合わせてうなずいた。

もちろん曲は資料として事前に入手していた。
現場に入るまで繰り返し聴き込んで憶えて来たはずのでその歌は
まるで違う歌のように聴こえた。

彼の声はCDやデータ等というメディアには収まらないのである。

ハスキーながらも伸びのある、そして独特の憂いを含むその声は
とにかく聴く者を心地よくさせ、うっとりとさせる。

その仕事が終わって2週間後、彼の単独ライブに足を運んだ。
横浜のとあるライブハウス。
たまたまではあるが、そのライブハウスが「秦 基博」というアーティストを
産み出し、育てた場所だった。

300人程しか入らないそのライブハウスで、仕事の時には聴けなかった
生声に近い彼の歌声を聴いた。

涙が出た。

歌詞が、とか
どの曲が、とかではなく

歌声に涙が出た。

あの仕事以来、すっかりファンになってしまい、
また機会があればご一緒したいと思うアーティストなのだが
彼のライブには映像なんかの演出は一切いらないと思う。
(という事は、僕の出番はないのである。)

「歌」だけで大丈夫。
「声」だけで大丈夫。

彼の歌声は是非とも生で聴いて欲しい。
CDでは絶対に体感できない感動がそこにはある。
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by wamhouse | 2010-01-08 02:48 | 聴 : sound

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